福井県

はじめての障がい者雇用

「障がいの有無にかかわらず、誰もが職場で力を発揮しています」

障がい者雇用が初めての企業にとって、実際に働く姿を思い浮かべるのは簡単ではないかもしれません。しかし、現在は身体・知的・精神・発達など、さまざまな障がいのある方が、事務・販売・製造・ITなど幅広い分野で活躍しています。

業務内容や働き方を工夫することで、多くの職場に新たな戦力が生まれ、組織の活性化や人材不足の解消にもつながっています。障がい者雇用は、企業と働く人の双方にとって価値ある取り組みです。

障がい者雇用の基礎理解

(1)障がい者雇用のステップ

1.障がい者雇用の基礎理解

制度や障がい特性、就労支援機関について知り、経営者の姿勢を示しながら社内研修等で受け入れの機運を高める。

2.障がい者採用に向けた準備

雇用の目的と自社の状況を踏まえて計画を立て、業務内容や労働条件を決定し、社内支援体制を整備する。

3.募集活動と採用後支援の準備

募集活動により面接・採用の決定を行うとともに、採用後に職場へ定着するための支援の準備を行う。

4.職場定着に向けた取り組み

職場定着のための基本的な方法を理解して実践し、人材育成の視点も踏まえた継続的な支援を行う。

(2)障がい者雇用の意義・障がい者雇用のメリット

障がい者雇用を進めることで、法的義務を超えて共生社会の実現に貢献し、すべての人が働きやすい職場を作ります。


障がい者雇用を進めるためのキーワード

制度や障がい特性、就労支援機関について知り、経営者の姿勢を示しながら社内研修等で受け入れの機運を高める。

  • 法的義務

    障がい者雇用促進法に基づき、事業主は法定雇用率以上の障がい者を雇用することが義務づけられています。

    現行2026年7月~
    法定雇用率2.5%2.7%
    障がい者雇用の対象範囲従業員40人以上従業員37.5人以上
  • 共生社会の実現

    障害の有無にかかわらず、意欲と能力がある誰もが職業を通じて社会参加できる社会をつくる必要があります。

  • 企業の社会的責任、法令等の遵守

    利益追求だけでなく、ステークホルダーへの責任(CSR)や法令遵守(コンプライアンス)として真剣に取り組む必要があります。

  • ダイバーシティ(多様な人材の活用)

    社員一人ひとりの違いを受け入れ、価値として活かすことは、企業の競争力や組織の開発に欠かせない視点です。

  • 働き方改革実行計画

    障がい者等の希望や能力を活かした就労支援を推進し、障がい者と共に働くことが当たり前の社会を目指していく必要があります。

障がい者雇用のメリット

  • 「貴重な戦力として会社を支えてくれている」

    人手不足の中で、丁寧かつ確実に作業を行う姿勢が信頼を集め、なくてはならない戦力として活躍しているという声があります。

  • 「社員が本来業務に専念でき、組織全体の効率が上がった」

    特定の業務を切り出して任せることで、他の社員がコア業務に集中できるようになり、会社全体のパフォーマンス向上につながったという報告があります。

  • 「マニュアル化や手順の整理が、結果として全員の働きやすさにつながった」

    障害のある社員向けに行った作業手順の整理やマニュアル作成が、業務の標準化や属人化の解消につながり、誰もが働きやすい職場改善になったという事例があります。

  • 「ひたむきに働く姿が周囲によい刺激を与え、職場が活性化した」

    真剣に仕事に取り組む姿勢が他の社員の意識を変え、職場の雰囲気が明るくなるとともに、互いに支え合う風土が醸成されたという経験談が多くあります。

  • 「わかりやすく伝える工夫を通じて、上司のマネジメント能力が向上した」

    相手に伝わるような指示や配慮を日常的に行うことで、管理職や指導担当者のマネジメントスキルが高まったという声が寄せられています。

  • 「コミュニケーションや安全対策の見直しが、職場全体の質の向上につながった」

    円滑な意思疎通や安全確保のためのルール作りを行った結果、職場全体のコミュニケーションが活性化し、安全意識も高まったという効果が報告されています。

(3)障がい者雇用を進めるために知っておくこと

 障がい者雇用を進めるには、法に基づく「障がい者に対する差別の禁止と合理的配慮の提供義務」、事業主の義務である「障害者雇用率制度」や「障害者雇用納付金制度」、雇用の対象となる「障がい者の範囲」および活用可能な「就労支援機関」について、あらかじめ知っておく必要があります。

障害の区分
  • 身体障害
    身体の機能に制限がある人。
  • 知的障害
    知的発達に遅れがある人。
  • 精神障害
    心の病や不調がある人。
  • 発達障害
    コミュニケーションや行動に特徴がある人。
  • 高次脳機能障害
    脳の損傷による記憶や認識の障害。
  • 難病
    治療が難しい長期の病気を持つ人。
就労支援機関
  • ハローワーク(公共職業安定所)
    障がい者雇用を検討する際の最初の相談窓口として最も一般的です。
  • 地域障害者職業センター
    ハローワークと連携し、より専門的な技術的支援を行う機関です(各都道府県に設置)。
  • 障害者就業・生活支援センター
    仕事と生活の両面から支援が必要な場合に利用される、地域に密着した機関です。
  • 就労移行支援事業所(福祉機関)
    就職を目指して訓練を受けている障害者を採用したい場合や、実習を受け入れる場合に連携します。
  • 特別支援学校・障害者職業能力開発校(教育・訓練機関)
    新卒採用や、特定の技能を持った人材を求める場合に連携します。
  • (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 都道府県支部(高齢・障害者業務課)
    主に助成金や納付金の手続き、専門的な講習などで関わりを持ちます。

(4)障がい者雇用を進めるために知っておくこと

インターネットでの事例・資料収集(全国共通・福井県)
  • 障がい者雇用事例リファレンスサービス 業種や障害種別ごとの雇用事例や、合理的配慮の提供事例を検索できます。
  • 障がい者雇用に関するマニュアル・事例集・動画(DVD)等 障害種別ごとのマニュアル、改善好事例集、啓発動画などが公開されています。
  • 障がい者雇用支援人材ネットワークシステム 障がい者雇用管理サポーター(専門家)の活用事例や検索が可能です。
  • 就労支援機器の紹介 障がい者の就労を支援する機器の情報が掲載されています。
  • 相談窓口・施設(中央・福井県)
    中央障害者雇用情報センター(全国共通) 雇用管理や合理的配慮の提供に関する相談や、サポーターによる支援提案を行います。
    電話

    03-5638-2792
    FAX

    03-5638-2282
    メール

    syougai-soudan@jeed.go.jp
  • (独)高齢・障害・求職者雇用支援機構 雇用開発推進部(資料等の問い合わせ)
    マニュアルやDVD貸出に関する問い合わせ先です。
    電話

    043-297-9513
    FAX

    043-297-9547
  • 福井障害者職業センター(福井県)
    障害者職業カウンセラーによる専門的な相談・支援、ジョブコーチ支援等を行います。
    〒910-0026
    福井市光陽2-3-32
    電話

    0776-25-3685
    FAX

    0776-25-3694
  • 福井支部 高齢・障害者業務課(福井県)
    障害者雇用納付金、助成金の申請受付や、障害者職業生活相談員資格認定講習などを行います。
    〒915-0853
    越前市行松町25-10
    福井職業能力開発促進センター内
    電話

    0778-23-1021
    FAX

    0778-23-1055

(5)経営者の理解・経営者が行うこと

1.経営方針の明示とメッセージの発信

  • トップ自らが明言する - 障がい者雇用を単なる義務としてではなく、企業の「経営方針」として推進することを社員に対して明確に示します。
  • 前向きなメッセージを伝える - 「なぜ取り組むのか」という必要性や意義について、経営者自身の言葉で前向きなメッセージを発信し、社員の理解を促します。

2.全社的な協力体制の構築

  • 受入部署任せにしない - 特定の部署や担当者だけに任せるのではなく、経営者・人事担当者・受入部署が共通認識を持ち、互いに連携できる環境を作ります
  • 現状の共有 - 社内会議などで、企業の障がい者雇用の現状や具体的な計画を社員に説明します。

3.社内の理解促進と機運の醸成

  • 社内研修の開催 - 専門家による講演や、啓発用動画(DVDなど)の視聴を通じて、障がい特性や雇用の実態を学ぶ機会を設けます。
  • 情報の周知 - 障がい者雇用に関するマニュアルや好事例集を社員に紹介したり、社内報で記事を掲載したりして周知を図ります。
  • 職場実習の受け入れ - 採用前に実習生を受け入れ、社員が実際に障がい者と接する機会を作ることで、「障がい者を知る」きっかけを作り、現場の不安を軽減します。

採用計画の検討・採用の準備

(1)障がい者雇用のステップ

1.障がい者雇用の基礎理解

制度や障がい特性、就労支援機関について知り、経営者の姿勢を示しながら社内研修等で受け入れの機運を高める。

2.障がい者採用に向けた準備

雇用の目的と自社の状況を踏まえて計画を立て、業務内容や労働条件を決定し、社内支援体制を整備する。

<準備の例>

  • 仕事の準備:
    「書類のデータ化」や「備品の補充」、「清掃」など、社内の定型業務をリストアップしてみる。
  • 条件の検討:
    最初は「週20時間の短時間勤務」や「ラッシュ時を避けた時差出勤」など、無理のないスタートを検討する。
  • 体制づくり:
    現場で仕事を教える「担当者」を決め、困ったときに相談できる外部の支援機関(ハローワーク等)とつながっておく。

3.募集活動と採用後支援の準備

募集活動により面接・採用の決定を行うとともに、採用後に職場へ定着するための支援の準備を行う。

4.職場定着に向けた取り組み

職場定着のための基本的な方法を理解して実践し、人材育成の視点も踏まえた継続的な支援を行う。

(2)プライバシーに配慮した障がい確認の進め方

 厚生労働省により「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が策定されており、本人の意に反した雇用率制度への適用が行われないよう、以下のルールを守る必要があります。

1.原則は「全社員に向けて画一的に」呼びかける


特定の社員(障害があると思われる人)だけを個別に呼び出して確認することは不適切です。労働者全員に対して、画一的な手段で申告を呼びかける必要があります。

  • 適切な方法: 全社員への文書配布、社内報への掲載、社内LAN掲示板への掲載、全社員への一斉メールなど。
  • 不適切な方法: 障がい者と思われる労働者がいる部署にのみ文書を配布する、噂や外見を根拠に特定の人にだけメールや声かけをするなど。

2.「利用目的」と「回答は任意であること」を明示する


呼びかけを行う際は、以下の2点をはっきりと伝える必要があります。

  • 利用目的の明示: 「障害者雇用状況報告(ハローワークへの報告)」や「障害者雇用納付金の申告」のために利用することを伝える。
  • 業務命令ではない(任意性): この呼びかけに対する回答は業務命令ではないこと、および回答しなくても不利益な取り扱いを受けないことを明確に伝える。
※支援制度(助成金や通院休暇)などを利用したい旨の申し出が本人からあったときは、個人を特定して紹介できるケースもあります。

3.以下の情報を根拠に個別に照会することはできません

  • 健康診断の結果
  • 健康保険組合のレセプト(診療報酬明細書)
  • 上司や同僚の受けた印象や社内の風評
  • 上司に対する個人的な健康相談の内容

4.情報の管理と共有範囲の同意

障害者手帳の情報を取得・利用する際は、必ず本人の同意を得る必要があります。また、採用後に配慮(合理的配慮)を提供するために障がい情報を社内で共有する場合も、「誰に(全職場か、管理職のみか等)」「どのような内容を」伝えるかについて、必ず本人の同意を得ておく必要があります。

(3)職務選定で迷ったら


 職務を創出する際は、以下の3つのモデルを単独または組み合わせて検討します。

  • 切り出し・再構成モデル

    職場にある定型業務を切り出して集約する方法。他の社員が本来業務(コア業務)に専念できるようになり、職場全体の業務効率化につながるメリットがある。

  • 積み上げモデル

    習熟度に合わせて段階的に職務の幅を広げていく方法。本人の成長を促しながら、無理なく能力を最大限に発揮できるメリットがある。

  • 特化モデル

    個人の得意分野や強みに着目し、その業務に特化させる(苦手な業務は除外する)方法。特定分野での高いパフォーマンス発揮が期待できるメリットがある

【代表的な業務例】


事務・オフィスワーク

  • 書類の電子化(スキャン)、コピー、ファイリング
  • パソコンでのデータ入力(数字・氏名等)
  • 郵便物の仕分け・発送業務
  • シュレッダーかけ、廃棄文書の処理
  • 備品の在庫管理・補充、会議室のセッティング

作業・環境整備

  • 社内(執務室、廊下、トイレ等)の清掃、ゴミ回収
  • 商品や配送用の段ボール組立・解体、梱包
  • 製品へのラベル貼り、封入作業
  • 部品や器具の検品、洗浄
  • 社用車の洗車、敷地内の草取り

(4)障がい者の労働条件


障がい者雇用の形態


雇用形態(正社員、契約社員、パート等)は、職務内容や責任、労働時間、本人の希望に応じて決定します。障がいの有無のみを理由に特定の雇用形態(正社員から除外するなど)に固定することは、差別禁止の観点から認められません。 本人の能力や特性、働き方に最適な形態を個別に判断することが重要です。

障がい者雇用率の算定に関する詳細資料

障がい種別や程度、週の所定労働時間に基づいた、具体的な雇用率のカウント方法(ダブルカウントや短時間雇用の取り扱い等)については、以下の資料をご確認ください。

機関名厚生労働省(都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク))
リンク障害者雇用促進法の概要
障害者雇用に関する制度(H22.07)
※厚生労働省にて、最新の算定基準が公開されています。

就業時間


時差出勤

肢体不自由者や視覚障がい者などが、混雑時の通勤や公共交通機関の利用に伴う負担を避けるため、始業・終業時刻を繰り上げたり繰り下げたりして調整します。

短時間勤務

精神障がい者など疲れやすい特性がある場合、フルタイムではなく1日4時間などの短時間から開始し、状況を見ながら徐々に勤務時間を延ばしていきます。

残業や夜間勤務の制限

体力不足や生活リズムの維持(睡眠不足によるてんかん発作の予防など)が必要な場合、残業や夜間勤務を避けるか、事前に主治医の意見を聞いて判断します。

通院・休暇取得への配慮

人工透析や定期的な検査が必要な場合、時間単位での年次有給休暇の取得を認めたり、通院のための特別休暇制度を設けたりして配慮します。

休憩時間の工夫

疲労回復や集中力の維持が必要な場合、作業の合間に小休憩を設けたり、いつでも休憩が取れるような柔軟な体制を整えたりします。

賃金


同一労働・同一賃金の原則

障がいがあるからといって職務遂行能力が劣るわけではありません。一般社員と同様に「職務内容」「責任の範囲」「能力」などの基準に基づいて決定するのが基本であり、同じ職務であれば障がい者専用の賃金体系を別途設ける必要はありません。

最低賃金法の遵守

障がい者を雇用する場合であっても、最低賃金法は当然適用されます。「障がい者だから」といって最低賃金を下回ることはできません。

能力に応じた設定と適正評価

障がいの状況により、担当できる業務範囲が限られる場合や、他の社員と比べて遂行能力に差がある場合は、それに見合った水準(低い水準)からのスタートになることもあります。 ただし、その場合でも以下の点に留意します。

評価の実施

一般社員と同様に実績や行動評価を給与に反映させ、モチベーションを維持・向上させる。

昇給への道筋

長期的な視点で能力向上を支援し、本人の成長に合わせて昇給につなげていく。

(5)就業規則・評価の考え方


原則そのまま適用


  • 就業規則(本体) 就業規則をはじめ、就業に関わる諸規定・制度を障がい者雇用にあたって特別に変更する必要はありません。
  • 人事評価制度 基本的には、現在企業で実施している評価制度をそのまま運用します。「目標を立てる」「振り返る」「フィードバックする」といった一連の流れは一般社員と同様です。
  • 賃金体系 同一職務であれば、障がい者専用の賃金体系を別途作成する必要はありません。

障がい者に合わせて変更・追加が必要なもの


就業規則全体を変えるのではなく、「個別の契約」や「運用」で対応します。

  • 個別の労働条件(雇用契約書・労働条件通知書での対応)
    障がい特性に合わせて「勤務時間」「休憩時間」「勤務場所」などを就業規則と異なる条件にする場合は、個別の「雇用契約書」や「労働条件通知書」にその変更内容を明記します(その他の条件は就業規則に従うとすれば問題ありません)。
  • 評価制度の「運用」(目標設定やフィードバック)
    制度自体は変えませんが、運用において配慮が必要です。本人の現状に合った目標を話し合って設定したり、結果のフィードバックを丁寧に行ったりするなど、個別の配慮を加えます。
  • (必要に応じて)通院への配慮
    必須ではありませんが、定期的な通院が必要な場合、通常の有給休暇とは別に「通院休暇制度」を設けたり、時間単位での休暇取得を認めたりするなどの対応を行う企業もあります。

(6)社内支援体制


1.現場の支援体制構築


配属部署に相談窓口となる担当者を決めるとともに、特定の個人任せにせず部署全体(チーム)で支援する体制を作ります。

2.人事担当部署によるバックアップ


現場の指導担当者や特定の社員に負担が偏らないよう配慮し、担当者自身の悩みや相談にも対応できる環境を整えます。

3.外部支援機関との連携


生活面や医療面の課題など、企業内だけで解決が難しい事項については、ハローワークや支援機関、医療機関と連携して対応します。

募集活動・社内支援の準備

(1)ハローワーク・支援機関との連携

ハローワークを利用する


  • 専門窓口への相談
    まずは障がい者専門の職業相談・職業紹介窓口(専門援助部門)へ相談に行きます。
  • 求人票の提出
    社内で決定した労働条件を記載した求人票を提出し、求職者への公開を依頼します。
  • 助成金等の活用相談
    「障害者トライアル雇用」や各種助成金制度の活用が可能かどうか、併せて相談します。
  • 面接会の活用
    ハローワークが開催する「障害者就職面接会」への参加について相談し、一度に多くの求職者と面接する機会を検討します。

その他支援機関と連携するメリット


地域障害者職業センターや就労移行支援事業所、特別支援学校などの支援機関と連携することで、以下のメリットが得られます。

  • 能力や特性を事前に把握できる
    支援機関の担当者は本人の職務遂行能力や特性をよく理解しているため、採用判断や配置検討に必要な情報を得ることができます。
  • 専門的な助言によるスムーズな受け入れ
    採用にあたって、障がい特性に応じた配慮や指導方法などの助言・協力を得ることができ、スムーズな受け入れが可能になります。

人材の確保

求職者

地域障害者職業センター

障がい者に対する職業相談・職業評価・職業準備支援(就職へ向けた支援)などを実施

障害者就業・生活支援センター

障がい者に対する職業相談、職場実習などを実施

障害者職業能力開発校

職業訓練を実施

就労移行支援事業所等(福祉機関)

就職に必要な、体力の向上、労働習慣の確立、マナー・挨拶・身なりなどの習得のための訓練(支援)を実施

特別支援学校

高等部在学生に対し、卒業後の就職を目指して、在学中に職場実習などの職業教育を実施

医療機関

精神科デイケア等にて就労支援に関するプログラムを実施(実施している医療機関)

ハローワーク

ハローワークに求職登録した求職者の就職活動を支援(地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの利用者で企業就職を希望している障がい者の多くは求職登録している)

  • トライアル雇用、ジョブコーチ支援などが活用できます。
  • 地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなど支援機関が採用後も相談・支援を行うことができます。

企業

職業紹介

有料職業紹介事業者

障がい者の職業紹介を行っている厚生労働大臣の認可を受けた有料職業紹介事業者もある

(2)採用選考(面接の配慮事項)

※障がいに関する情報は特に慎重な取り扱いが必要なセンシティブ情報であるため、業務遂行や配慮の検討に直接関係のない、必要以上の詳細な障がい状況や治療内容に関する質問は控えるようにしてください。
  • 面接官の人数を絞り、質問者を一人に限定する
    多対一の面接は強い圧迫感や緊張を与え、本来の力を発揮できなくなることがあります。面接官の人数を最小限にし、質問する担当者を極力一人にまとめることで、落ち着いて話せる環境を作ります。
  • 「沈黙」を許容し、回答を急かさずに待つ
    質問されてから言葉が出るまでに時間がかかる場合や、考えを整理するのに時間を要する場合があります。沈黙をネガティブに捉えず、回答を急かさずに十分に待つ姿勢を持つことが重要です。
  • 支援者や家族の同席を積極的に認める
    本人が安心して話せるよう、家族や支援機関の担当者(ジョブコーチ等)の同席を認めます。支援者が同席することで、本人の緊張が和らぐだけでなく、障がい特性や配慮事項についてより的確な情報を得られるメリットもあります。
  • 「二重否定」や「あいまいな表現」を避ける
    「~しないことはないか?」といった二重否定や、比喩的な表現は混乱を招く原因になります。「はい/いいえ」で答えられる質問や、具体的で肯定的な表現を用いた質問を心がけることで、正確な意思疎通が可能になります。

(3)障がい者採用における選考基準の考え方

一般社員と共通する判断ポイント
  • 仕事への意欲(働きたいという意思)
  • 能力・スキル(職務経歴や遂行能力が業務に合っているか)
  • 協調性(周囲とうまくやっていけるか)
障がい者雇用において特に確認すべきポイント
  • 障がいの自己理解
    自身の障がい特性や程度を正しく理解し、「自分ができること」「できないこと」「どのようなサポート(配慮)があればできるか」を説明できるかを確認します。
  • 安定して働くための基盤(職業準備性)
    職務能力以前の問題として、健康管理や生活リズム、服薬管理などが整っており、毎日安定して出勤できる状態にあるかを確認します。
  • 支援による可能性の検討
    現時点で課題があっても、企業側の配慮や外部機関の支援があれば就労が可能かどうかという視点を持ちます。
職業準備性概念図
どの職業にも共通して必要とされる職業人としての基礎的な要件
Level 5
職業適性
  • 職務への適性
  • 職務遂行に必要な知識・技能
Level 4
基本的労働習慣
  • あいさつ・返事
  • 報告/連絡/相談
  • 身だしなみ
  • 規則の厳守
  • 一定時間仕事に耐える体力
Level 3
対人技能
  • 感情のコントロール
  • 注意されたときの謝罪
  • 苦手な人へのあいさつ
Level 2
日常生活管理
  • 基本的な生活リズム
  • 金銭管理
  • 余暇の過ごし方
  • 移動能力
Level 1
健康管理
  • 食事栄養管理
  • 体調管理
  • 服薬管理
出典:
相澤欽一:”資料3 ジョブガイダンスの実際例”. 現場で使える精神障害者雇用支援ハンドブック. 金剛出版. 2007. P198を基に一部変更して引用

(4)労働条件の通知と社内支援体制の構築

本人の同意が必要なもの
・情報の社内共有
面接などで収集した障がい特性や配慮事項などの情報を社内で共有する場合、その「共有する内容」や「範囲(配属部署のみか、全社か等)」について、必ず本人の同意を得ておく必要があります。
労働条件通知書について
・書面での交付
本人の希望や特性に合わせて求人票の内容から変更(時差出勤や短時間勤務など)が生じる場合も含め、改めて整理した上で「労働条件通知書」を作成し、必ず本人へ交付します。
社内の支援体制強化のために
・担当者の選定と本人への周知
現場で仕事を教える指導担当者や、体調面などの相談窓口となる担当者を決め、その役割分担を必ず本人に伝えます。
・障がい者職業生活相談員の選任(※法的義務)
障がい者を5人以上雇用している事業所では、法に基づき「障がい者職業生活相談員」を選任し、職業生活全般の相談・指導を行わせる義務があります。
JEED - 障害者職業生活相談員について
・障がい者雇用納付金制度に基づく主な助成金
【障害者介助等助成金】

障がい者の雇用管理に必要な介助者(手話通訳担当者など)の配置や委嘱にかかる費用を助成します。

【職場適応援助者助成金】

障がい者の職場定着を支援する「職場適応援助者(ジョブコーチ)」による支援活動にかかる費用を助成します。
JEED - 企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修

【障害者雇用相談援助助成金】

処遇改善加算を算定している福井県内の事業所に対し、その原資を支援する補助金です。
福井県 - 福井県障がい福祉分野における賃上げ支援事業補助金について(令和8年)

(5)障がい特性に寄り添った環境づくり

スケジュール表

1日の流れや仕事の見通しを持てるように準備します。

作業手順書

作業手順を理解し、正しく作業するために準備します。
※必要に応じて、写真や絵を入れる、わかりやすい言葉に置き換える、漢字にふりがなを振る、注意点(やってはいけないこと)を明記するなどの工夫を加えます。

作業日誌・健康チェック表

進捗管理や体調変化の把握のために準備します。

コミュニケーションツール

ホワイトボードや筆談用紙など、円滑な意思疎通のために準備します。

就労支援機器

障がい特性による課題を補い、作業をしやすくするための機器(拡大読書器や音声読み上げソフトなど)を準備します。
※JEED(高齢・障害・求職者雇用支援機構)では、就労支援機器の相談や貸し出しを行っています。
JEED - 就労支援機器

(6)定着に向けた代表的な支援制度(トライアル雇用・ジョブコーチ等)

・全国共通の主な制度
【障害者トライアル雇用助成金】

適性を見極めるため、3か月から12か月間の短時間トライアル雇用をすることで助成金が支給されます。
厚生労働省 - 障害者トライアルコース・障害者短時間トライアルコース

【職場適応援助者助成金】

障がい者の職場定着を支援する「職場適応援助者(ジョブコーチ)」による支援活動にかかる費用を助成します。
JEED - 企業在籍型職場適応援助者(ジョブコーチ)養成研修

【障害者雇用相談援助助成金】

認定を受けた支援機関から採用・定着のノウハウ提供を受けた場合に利用できます。
厚生労働省 - 障害者雇用相談援助助成金

(7)設備改善・安全対策

・考え方とポイント

設備改善や安全対策は、障がい者だけでなく全社員が働きやすく安全な環境を作るという視点が重要です。必ずしも大掛かりな工事が必要なわけではなく、通路の整理整頓や危険箇所の表示、緊急時の避難ルールの周知など、身近な改善から検討しましょう。 なお、スロープやトイレなどの設備整備には、要件により助成金が活用できる場合があります。
具体的な改善事例は、以下のホームページを参考にしてください。
JEED - 障害者の労働安全衛生対策

職場定着のための取り組み

(1)基本的な取り組み

作業習得のための支援


  • 確認する点
    • 本人が「わかりやすい」「これならやれる」と感じているか(指導の効果の確認)。
  • 支援する点
    • 作業を行う目的を説明する。
    • 本人にとってわかりやすい方法(実演、写真入りマニュアル等)で指導を行う。

職場適応のための支援


  • 確認する点
    • 作業への取組状況。
    • 休憩時の過ごし方。
    • 他の社員との協力関係やコミュニケーションの状況。
    • 職場のルールへの対応状況。
  • 支援する点
    • 必要に応じて、改善のための指導を行う。

設備面などの職場環境の調整


  • 確認する点
    • 本人にとって利用しやすい、使用しやすい設備になっているか。
  • 支援する点
    • 必要があれば、設備の改善を行う(スロープ設置、トイレ改修など)。

継続勤務の確認


  • 確認する点
    • 無理なく継続して働くことができているか。
  • 支援する点
    • 困難がある場合は、継続勤務が可能な勤務時間の調整、休憩時間の取り方などの調整を行う。

企業による指導・指示命令系統の確認


  • 確認する点
    • 本人への指導や指示命令系統(指示を出す人、相談を受ける人)が常に機能しているか。
  • 支援する点
    • より効果的な体制となるように改善を図る。

定期的なふり返り(面談など)


  • 確認する点
    • 本人の気持ち、感想や希望、目標。
    • 作業日誌や健康チェック表の内容(使用している場合)。
  • 支援する点
    • できていることや強みを伝え、改善したほうがよいところを具体的にフィードバックする。
    • 企業から伝えたことを記録に残す。
職場定着のための支援機関との連携

ジョブコーチ支援など支援機関との連携により支援を進めている場合、助言を得ながら支援を進めます。必要に応じてふり返りの場への支援機関の同席を依頼します。
支援機関との連携が行われていない場合、本人の同意を得た上で、支援機関に協力を依頼するとよいでしょう。

作業手順を説明する場合の段階(説明者の関わる度合い)

度合いが
低い
度合いが
高い
度合い:低い  

言語指示

  • 直接的言語指示:指示する内容を具体的な言葉で表す
  • 間接的言語指示:「次は何?」「さあ次は?」などと促して、自発的に行動するための間をとる
度合い:やや低い

ジェスチャー

  • 指導者が対象となる物や方向を指差し、行動を想起させる部分的な身振りをするなどの方法でヒントを与える
度合い:やや高い

見本の提示

  • 指導者が先に見本を見せて、そのあとに作業してもらう
  • 指導者が本人のとなりで同じ仕事のやり方を見せながら同時に行う
度合い:高い  

手添え

  • 手添え:直接体に触れて動作を教える(留意点あり)
  • シャドーイング:直接体に触れず、触れそうで触れない距離感で教える

労働安全教育に関する支援


知的障がい者に対する安全教育の例
  • 整理整頓
  • 作業手順
  • 作業服装
  • 不安全行動の防止
  • 荷物の運搬
  • 工具の扱い
  • 安全標識
  • 危険予知訓練
  • 指差呼称
  • 指示・報告の重要性