令和7年度 福井県
障がい者等雇用環境整備支援事業
障がい者雇用に向けた準備
(1)障がい者雇用のステップ
1.障がい者雇用の基礎理解
制度や障がい特性、就労支援機関について知り、社内研修等で受け入れの機運を高める。
2.障がい者採用に向けた準備
雇用の目的と自社の状況を踏まえて計画を立て、業務内容や労働条件を決定し、社内支援体制を整備する。
<準備の例>
- 仕事の準備:
「書類のデータ化」や「備品の補充」、「清掃」など、社内の定型業務をリストアップしてみる。 - 条件の検討:
最初は「週20時間の短時間勤務」や「ラッシュ時を避けた時差出勤」など、無理のないスタートを検討する。 - 体制づくり:
現場で仕事を教える「担当者」を決め、困ったときに相談できる外部の支援機関(ハローワーク等)とつながっておく。
3.募集活動と採用後支援の準備
ハローワークを中心に求人票の提出、支援制度の活用について窓口に相談します。
4.職場定着に向けた取り組み
職場定着のための基本的な方法を理解して実践し、人材育成の視点も踏まえた継続的な支援を行う。
(2)プライバシーに配慮した障がい確認の進め方
厚生労働省により「プライバシーに配慮した障害者の把握・確認ガイドライン」が策定されており、本人の意に反した雇用率制度への適用が行われないよう、以下のルールを守る必要があります。
1.原則は「全社員に向けて画一的に」呼びかける
特定の社員(障がいがあると思われる人)だけを個別に呼び出して確認することは不適切です。労働者全員に対して、画一的な手段で申告を呼びかける必要があります。
- 適切な方法: 全社員への文書配布、社内報への掲載、社内LAN掲示板への掲載、全社員への一斉メールなど。
- 不適切な方法: 障がい者と思われる労働者がいる部署にのみ文書を配布する、噂や外見を根拠に特定の人にだけメールや声かけをするなど。
2.障害に関する個別質問の禁止
健康診断の結果や職場の噂などを理由にして、特定の社員にだけ「障害者手帳を持っていますか?」と直接確認(質問)することはできません。申告を求める際は、特定の個人を狙うのではなく、全社員を対象に一斉にお知らせする必要があります。
3.障害情報の確認の際の留意点
全社員を対象に呼びかけを行う際は、以下の2点をはっきりと伝える必要があります。
- 利用目的の明示: 「障害者雇用状況報告(ハローワークへの報告)」や「障害者雇用納付金の申告」のために利用することを伝える。
- 業務命令ではない(任意性): この呼びかけに対する回答は業務命令ではないこと、および回答しなくても不利益な取り扱いを受けないことを明確に伝える。
4.情報の管理と共有範囲の同意
障害者手帳の情報を取得・利用する際は、必ず本人の同意を得る必要があります。また、採用後に配慮(合理的配慮)を提供するために障がい情報を社内で共有する場合も、「誰に(全職場か、管理職のみか等)」「どのような内容を」伝えるかについて、必ず本人の同意を得ておく必要があります。
(3)職務内容の選定と創出方法
職務を創出する際は、以下の3つのモデルを単独または組み合わせて検討します。
-
切り出し・再構成モデル
職場にある定型業務を切り出して集約する方法。他の社員が本来業務(コア業務)に専念できるようになり、職場全体の業務効率化につながるメリットがある。
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積み上げモデル
習熟度に合わせて段階的に職務の幅を広げていく方法。本人の成長を促しながら、無理なく能力を最大限に発揮できるメリットがある。
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特化モデル
個人の得意分野や強みに着目し、その業務に特化させる(苦手な業務は除外する)方法。特定分野での高いパフォーマンス発揮が期待できるメリットがある
【代表的な業務例】
事務・オフィスワーク
- 書類の電子化(スキャン)、コピー、ファイリング
- パソコンでのデータ入力(数字・氏名等)
- 郵便物の仕分け・発送業務
- シュレッダーかけ、廃棄文書の処理
- 備品の在庫管理・補充、会議室のセッティング
作業・環境整備
- 社内(執務室、廊下、トイレ等)の清掃、ゴミ回収
- 商品や配送用の段ボール組立・解体、梱包
- 製品へのラベル貼り、封入作業
- 部品や器具の検品、洗浄
- 社用車の洗車、敷地内の草取り
(4)障がい者の労働条件
障がい者雇用の形態
雇用形態(正社員、契約社員、パート等)は、職務内容や責任、労働時間、本人の希望に応じて決定します。障がいの有無のみを理由に特定の雇用形態(正社員から除外するなど)に固定することは、差別禁止の観点から認められません。 本人の能力や特性、働き方に最適な形態を個別に判断することが重要です。
障がい者雇用率の算定に関する詳細資料
障がい種別や程度、週の所定労働時間に基づいた、具体的な雇用率のカウント方法(ダブルカウントや短時間雇用の取り扱い等)については、以下の資料をご確認ください。
| 機関名 | 厚生労働省(都道府県労働局・公共職業安定所(ハローワーク)) |
|---|---|
| リンク | 障害者雇用促進法の概要 障害者雇用に関する制度(H22.07) ※厚生労働省にて、最新の算定基準が公開されています。 |
就業時間
時差出勤
肢体不自由者や視覚障がい者などが、混雑時の通勤や公共交通機関の利用に伴う負担を避けるため、始業・終業時刻を繰り上げたり繰り下げたりして調整します。
短時間勤務精神障がい者など疲れやすい特性がある場合、フルタイムではなく1日4時間などの短時間から開始し、状況を見ながら徐々に勤務時間を延ばしていきます。
残業や夜間勤務の制限体力不足や生活リズムの維持(睡眠不足によるてんかん発作の予防など)が必要な場合、残業や夜間勤務を避けるか、事前に主治医の意見を聞いて判断します。
通院・休暇取得への配慮人工透析や定期的な検査が必要な場合、時間単位での年次有給休暇の取得を認めたり、通院のための特別休暇制度を設けたりして配慮します。
休憩時間の工夫疲労回復や集中力の維持が必要な場合、作業の合間に小休憩を設けたり、いつでも休憩が取れるような柔軟な体制を整えたりします。
賃金
同一労働・同一賃金の原則
障がいがあるからといって職務遂行能力が劣るわけではありません。一般社員と同様に「職務内容」「責任の範囲」「能力」などの基準に基づいて決定するのが基本であり、同じ職務であれば障がい者専用の賃金体系を別途設ける必要はありません。
最低賃金法の遵守障がい者を雇用する場合であっても、最低賃金法は当然適用されます。「障がい者だから」といって最低賃金を下回ることはできません。
能力に応じた設定と適正評価障がいの状況により、担当できる業務範囲が限られる場合や、他の社員と比べて遂行能力に差がある場合は、それに見合った水準(低い水準)からのスタートになることもあります。 ただし、その場合でも以下の点に留意します。
評価の実施一般社員と同様に実績や行動評価を給与に反映させ、モチベーションを維持・向上させる。
昇給への道筋長期的な視点で能力向上を支援し、本人の成長に合わせて昇給につなげていく。
(5)就業規則・評価の考え方
原則そのまま適用
- 就業規則(本体) 就業規則をはじめ、就業に関わる諸規定・制度を障がい者雇用にあたって特別に変更する必要はありません。
- 人事評価制度 基本的には、現在企業で実施している評価制度をそのまま運用します。「目標を立てる」「振り返る」「フィードバックする」といった一連の流れは一般社員と同様です。
- 賃金体系 同一職務であれば、障がい者専用の賃金体系を別途作成する必要はありません。
障がい者に合わせて変更・追加が必要なもの
就業規則全体を変えるのではなく、「個別の契約」や「運用」で対応します。
- 個別の労働条件(雇用契約書・労働条件通知書での対応)障がい特性に合わせて「勤務時間」「休憩時間」「勤務場所」などを就業規則と異なる条件にする場合は、個別の「雇用契約書」や「労働条件通知書」にその変更内容を明記します(その他の条件は就業規則に従うとすれば問題ありません)。
- 評価制度の「運用」(目標設定やフィードバック)制度自体は変えませんが、運用において配慮が必要です。本人の現状に合った目標を話し合って設定したり、結果のフィードバックを丁寧に行ったりするなど、個別の配慮を加えます。
- (必要に応じて)通院への配慮必須ではありませんが、定期的な通院が必要な場合、通常の有給休暇とは別に「通院休暇制度」を設けたり、時間単位での休暇取得を認めたりするなどの対応を行う企業もあります。
(6)社内支援体制
1.現場の支援体制構築
配属部署に相談窓口となる担当者を決めるとともに、特定の個人任せにせず部署全体(チーム)で支援する体制を作ります。
2.人事担当部署によるバックアップ
現場の指導担当者や特定の社員に負担が偏らないよう配慮し、担当者自身の悩みや相談にも対応できる環境を整えます。
3.外部支援機関との連携
生活面や医療面の課題など、企業内だけで解決が難しい事項については、ハローワークや支援機関、医療機関と連携して対応します。